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一般利用者向け | 脆弱X症候群

脆弱X症候群の症状、原因、検査について

「脆弱X症候群」とはどのような病気ですか

脆弱X症候群は遺伝性の疾患で、知的障害、自閉傾向などが特徴として知られています。
大きな耳など他の臨床的な特徴も記載されていますが、臨床症状だけで診断することは困難です。

本疾患の頻度は日本人男性では1万人に1人程度、知的障害を示す方の100~200人に1人程度の割合と考えられています。
男性の場合は重度の知的障害、女性の場合は無症状か、あっても症状が軽いことが多いことが知られています。X連鎖遺伝ですが、このように女性の方にも軽い症状が出ることがあります。
さらに、家族の中で症状を示す方が1人だけの例(孤発例)もしばしばあり、遺伝子検査を行わないと見逃すことも多いと考えられます。

脆弱X症候群の原因は何ですか

脆弱X症候群の原因は、X染色体に存在しているFMR1遺伝子であることが明らかになっています(図1)。この遺伝子内の3塩基(CGG)繰り返し配列が延長することによって病気が発症します。正常よりもやや長い、中間型(45~54回)の繰り返し配列が子孫に受け継がれる際に延長することがあり、保因者(前変異、55~200回)となると考えられています。
保因者の繰り返し配列が子どもに伝わる際、201回以上に延長した場合、子どもが脆弱X症候群になります。繰り返し配列が延長することにより、C(シトシン)がメチル化されFMR1遺伝子が働かなくなることが明らかになっています。そのために、脳の神経細胞のシナプスの形に異常が起こり、シナプスが十分に働かないために知的障害がおこると考えられています。

最近、ある神経伝達物質の受容体を抑制するとシナプスの働きがよくなる可能性がショウジョウバエやマウスのモデルで示され、治療法の開発が進んでいます。
しかし、CGG繰り返し配列が延長する機序やFMR1遺伝子の働きは、まだ十分に明らかになっていません。

図1
(図1)

脆弱X症候群の検査

脆弱X症候群の遺伝学的検査(D006-4)は2016年度から保険適用されました。2017年からは保険診療内で検査を受けることができます。

患者登録(レジストリ)について

「脆弱X症候群ならびに脆弱X症候群関連疾患のレジストリ」は、臨床試験/治験を目的として、患者さんと将来的に製薬関連企業・研究者との橋渡しをする登録システムです。

医学の進歩により、治療法がなかった疾患に対する新しい治療法が開発されてきています。 脆弱X症候群や脆弱X症候群関連疾患も同様で、海外では治療研究が大きく進捗しています。そのため、国内でも原因を標的とする治療法を含めた新たな治療法が臨床応用目前に迫っています。これが標準的な治療となるためには、研究の最終段階として患者さんに対して「臨床試験/治験」を行い有効性と安全性を確かめることが必要です。「臨床試験/治験」を円滑に進めるためには、あらかじめ対象となる患者さまを登録することがとても重要です。

対象:FMR1遺伝子のCGG繰り返し回数の延長を認めた方

登録方法:担当の先生を通して登録を行って頂きます。まずは担当の先生へご相談下さい。