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医療従事者向け | 脆弱X症候群関連疾患

脆弱X症候群関連疾患に関する症状、原因、検査等

概要

X染色体長腕末端部に位置するFMR1遺伝子内の3塩基(CGG)繰り返し配列が、代を経るごとに延長するために発症するトリプレットリピート病の一つである。前変異(55~200回のCGGリピート)を持つ人の中に、パーキンソン病様の症状を示す脆弱X関連振戦/運動失調症候群(FXTAS)や脆弱X関連早期卵巣不全(FXPOI)を呈することがある。
海外では、前変異(女性)のうち16%、前変異(男性)のうち40%で脆弱X症候群関連疾患を発症するとのデータがある。

症状

脆弱X関連振戦/運動失調症候群(FXTAS)では小脳失調、企図時振戦、パーキンソニズム、認知症、知的障害などを呈する。
脆弱X関連早期卵巣不全(FXPOI)では40歳以前の月経停止、不安神経症などの精神症状を呈する。

原因

Xq27.3に存在するFMR1遺伝子の5’非翻訳領域にあるCGG繰り返し配列が55~200リピートとなっている。
遺伝子異常により神経細胞の核内に凝集体が形成され、神経細胞の機能障害になることが推測されている。

検査所見

  • MRI検査にて中小脳脚(middle cerebellar peduncles:MCP)徴候を認める。
  • FMR1遺伝子の変異(CGG繰り返し配列の延長(55~200回))を証明することが確定診断となる。

鑑別診断

核内封入体病、パーキンソン病、脊髓小脳変性症、ハンチントン病、大脳皮質基底核変性症、進行性核上性麻痺、多系統萎縮症などとの鑑別が必要である。

 

遺伝学的検査

2016年度から脆弱X症候群関連疾患の遺伝学的検査(D006-4)が保険適用となり、検査会社での遺伝学的検査が可能となっている。
ただし、本検査はD006-4 遺伝学的検査(1)エ に含まれるため、遺伝学的検査の実施(保険償還)に際して地方厚生局へ届出(様式23)が必要となる。
詳細については各機関の医事課等へご確認下さい。

(参考資料)
日本衛生検査所協会 D006-4 エ 遺伝学的検査の受託に関して
http://www.jrcla.or.jp/info/info/281101.pdf

全国保険医団体連合会
D006-4 遺伝学的検査 様式23
https://hodanren.doc-net.or.jp/iryoukankei/16kaitei/tdkd/y223.pdf
2016年度診療報酬改訂特集
 http://hodanren.doc-net.or.jp/iryoukankei/16kaitei/index.htmlより)

 

患者登録(レジストリ)について

「脆弱X症候群ならびに脆弱X症候群関連疾患のレジストリ」は、臨床試験/治験を目的として、患者さんと将来的に製薬関連企業・研究者との橋渡しをする登録システムです。

医学の進歩により、治療法がなかった疾患に対する新しい治療法が開発されてきています。 脆弱X症候群や脆弱X症候群関連疾患も同様で、海外では治療研究が大きく進捗しています。そのため、国内でも原因を標的とする治療法を含めた新たな治療法が臨床応用目前に迫っています。これが標準的な治療となるためには、研究の最終段階として患者さんに対して「臨床試験/治験」を行い有効性と安全性を確かめることが必要です。「臨床試験/治験」を円滑に進めるためには、あらかじめ対象となる患者さまを登録することがとても重要です。

対象:FMR1遺伝子のCGG繰り返し回数が延長している方

登録方法:詳細については個別にご案内いたします。以下がおおまかな流れです。

1. 倫理承認を受ける

・倫理委員会がある場合:患者さん本人あるいは代諾が可能な家族から患者登録の同意を得た上で、各施設で倫理承認を受けて下さい。

・倫理委員会がない場合:研究分担施設として、鳥取大学で倫理承認を受けます。

2. 患者登録を行う

・専用の患者登録用紙をお送りします。必要事項を記載し、郵送にて返送して頂きます。